精力剤にはED治療薬やサプリメントのほかに、漢方を用いたものも一般的です。
漢方成分は古くから使われていて、ED改善の効果が期待できるものもありますので、本ページでは漢方でEDを改善する方法やメリット、デメリットなどを見ていきたいと思います。
漢方によるED治療とは
漢方とは
漢方とは、元々は中国で発達したもので、日本に伝わり独自に進歩した伝統医学のことです。
病気を体全体の不調和と捉えて、体全体を整えるために長い期間かけて医師や薬剤師などが研究して作りあげたものです。一般的に漢方のために摂取する薬や素材を「漢方薬」といいます。
西洋医学のように分析や解析によって薬が効く仕組みや原理をきちんと解明したものではなく、実際に服用してみてどのような効果があったのか見ながら研究された東洋の楽です。
西洋医学と東洋医学の違い
西洋医学と東洋医学の薬の違いは目的となる効果へのアプローチの違いと言われています。
西洋医学は直接的に効果を求めるのに対して、東洋医学は間接的に効果に対してアプローチをしてきます。
例えば「熱を下げる」ことを目的とすると、西洋医学では解熱効果のある薬を投与します。
一方で漢方では発汗作用のある漢方薬を処方して、汗をかくことで結果的に熱が下げるといったアプローチをとります。
漢方薬ばかりを処方する医者を「ヤブ医者」と考える人もいますが、考え方の違いですので、西洋医学が常に正しく、漢方は効果があるかわからないものというわけではありません。
体に直接的に作用する薬は効き目が早いですが、その分体への負担も大きくなる場合もあります。
漢方薬は効き目が遅く感じたり、中にはまったく効果がない人もいますが、体への負担が少なく、ED治療においては有効な改善方法の1つといえます。
漢方によるED治療の考え方
漢方ではEDは五臓六腑のうち腎に精が不足する「腎虚」が原因と考えます。
老化によって起きる症状ではありますが、ストレスや病気などがあると若い人でも腎虚になることもあります。
EDの改善には腎の働きを見直し、漢方薬を使用して腎に精が満たされるような状態を目指します。腎虚が改善されると勃起力だけでなく頻尿の改善にも効果があると言われています。
精力減退を感じている人は気の巡りが足りないと考え、精の巡りを改善する漢方薬を使用します。
ストレスが溜まっている場合は自律神経の乱れを聞こえるハーブ系の漢方薬を使用します。
EDを漢方で改善するメリット
- 本質的な改善ができる
- 自然な勃起ができる
- 射精時の快感が増す
- 経済的負担が少ない
本質的な改善ができる
漢方によるED改善は、ED治療薬とくらべて勃起力や精力減退が本質的に改善できる点がメリットです。
薬で強制的に勃起させるのではなく、勃起に必要な体の機能を取り戻し自然な勃起ができる状態を目指します。
精力増強や滋養強壮の効果が期待できる成分を取って体質を徐々に変えていくもので、EDを克服できれば薬に頼らず自然な勃起でセックスすることができます。
薬に頼らず自然な勃起でセックスすることで射精時の快感も増しますので、ただ勃たせるだけでなく男性機能を正常にしたい人に向いている改善方法といえます。
漢方薬だと保険適用されるケースもある
一般的にバイアグラなどED治療薬は保険が適用されないため、治療費が高額になります。
一方、漢方薬は一部保険が適用される場合があるため、健康保険による処方が可能な場合は治療費の面で割安になります。
この点はED治療薬が経済的に厳しい人には嬉しい点です。
医薬品成分が含まれる漢方薬については医師に相談の上、処方を受ける必要があります。そのため漢方薬によるED改善を目指す人はまずはかかりつけの医師に相談するのが1番です。
漢方でED治療をするデメリット
- 即効性がない
- 医薬品成分もある
- 副作用が出る場合がある
即効性がない
漢方によるED治療は体を変えて根本改善ができるのが魅力ですが、その分、漢方にはバイアグラなどED治療薬のような即効性はありません。(一部の医薬品成分を除く)
そのため、その日に結果を出したい人などには向いていません。
長期間かけてEDを改善していくという心構えが必要なります。
医薬品成分もある
日本での法律上は、口に入れる素材は全て「医薬品」か「食品」に分類されます。
そのため漢方素材も医薬品か食品に分類されており、効果効能が認められた一部の素材は医薬品に指定されています。
同じ動物や植物から取れていても部位によって含まれている有効成分が異なり、医薬品に指定されているものもあります。
医薬品指定されていることからも、部位によって期待される効果は異なりますので、使用する際には素材や部位を十分に確認し選択する必要があります。
上述した通り、漢方薬には効果がすぐに表れないものが多いです。
医薬品指定されているものは別ですが、その他のものは基本的には健康食品に分類され、体質を変えることでEDを改善するというアプローチを取ります。
漢方薬の副作用
漢方薬には副作用がないと考える人もいますが、バイアグラなどと比べると少ないながらも副作用が出る場合があります。
医薬品指定されている成分の場合は特に注意が必要です。
漢方薬は自然の材料使っていますが、人によっては特定の素材に対してアレルギー反応が出る人もいます。
そのため漢方薬でも副作用やアレルギーが出る可能性はありますので、服用後に体の異変を感じたら漢方薬による治療をストップしましょう。
また、医薬品成分を摂取する場合は医師や薬剤師によく相談して処方を受ける必要があります。
漢方薬は体に負担が少なく、体質を変えてED改善できるというメリットがありますが、一方で即効性がないことの裏返しであり継続的な服用が必要になります。
副作用出る場合もありますのでその点には注意が必要です。
漢方医学におけるEDの分類
漢方医学ではEDのことを「陰萎(いんい)」といい、主に4つに分類されます。
- 気血痰於(きけつたんお)型:器質性のED
- 心身症型:心因性のED
- 脾胃湿熱(ひいしつねつ)型:胃腸障害を併発しているED
- 陽虚(ようきょ)型:四肢冷感、精力減退、活動力低下
西洋医学的なEDの分類は器質性、心因性、混合型の3種類です。
気血痰於型=器質性ED、心身症型=心因性EDと同義と考えることができますので、胃腸障害を併発する「脾胃湿熱型」と四肢冷感で活動力が低下する「陽虚型」が東洋医学独自のEDの捉え方といえます。
医師がED治療で漢方薬を処方する際、これらの分類から症状にあった漢方薬を処方することになります。
この辺りはかかりつけの医師に相談して、教えてもらうと良いと思います。
EDに効果のある漢方薬
一般的にEDに効果のある漢方薬には以下があると言われています。
- 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
- 桂皮加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん) には加齢にともなうEDや慢性疲労、肩こり、腰の冷えにも有効といわれます。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) にはストレスなどの精神疲労を軽減させ、不安や不眠を和らげる効果があり、おもに心因性EDに効果的といわれます。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう) には胃腸障害を併発している状態に効果的といわれます。
桂皮加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう) には虚弱体質でストレス、精神疲労、うつ症状など、不安の強い心因性EDに効果的といわれます。
上述したEDのの症状とリンクしていますが、症状にあわせてこれらの漢方薬が処方されることが多いです。
割と一般的な漢方薬ですが、医師が症状に合わせて一つ、あるいはこれらを組み合わせて処方することが多いです。
精力剤、精力増強サプリに含まれる漢方素材
精力剤にも多く含まれる漢方素材
医薬品指定されていない成分・素材は、漢方系の素材として精力剤にも多く含まれています。
素材によって期待される効果も異なりますので、ED改善効果が期待できるかどうかは素材により変わります。
精力剤に多く含まれる漢方系の素材には以下があります。
高麗人参
高麗人参(高麗ニンジン)はED改善効果が期待できるメジャーな漢方素材です。
高麗ニンジンはウコギ科の多年草で、中国や韓国で2000年以上前から滋養強壮剤として利用されており、漢方素材として最も有名なものの1つです。
臨床試験でも高麗人参を摂取してEDの症状に改善が見られたという報告があり、ED改善効果が期待できる素材です。
ジンセノサイドと呼ばれるサポニンの一種が含まれていて、疲労回復や精神的な安定効果があると言われています。
マムシ
精力増強といえばマムシというほど、メジャーな素材ですね。
全長50センチ程度の夜行性の毒ヘビで、中国で昔から滋養強壮や精力増強に使われてきました。
マムシの胆のうを乾燥させて粉末にした「蛇胆(じゃたん)」や、内臓と皮を取り除いて乾燥、粉末化した「反鼻(はんび)」などが有名です。
マムシには必須アミノ酸やカルシウム、各種ビタミン群が含まれるだけでなく、血流改善や血行を良くするペプチドや、コレステロールを下げるリノール酸などが含まれています。
スッポン
スッポンは精のつく食材というイメージで、漢方素材としても人気です。
熱帯地域に生息する水性のカメの一種で、中国では甲羅(こうら)や頭、肉、血液などを広く精力増強や滋養強壮のため、漢方薬として摂取されてきました。
最近ではすっぽんエキスという名で抽出物が流通していて、栄養ドリンク、サプリ(錠剤・カプセル)など幅広く利用されています。
スッポンには良質のタンパク質が含まれていて、精力増強や精子を作る効果があると言われています。
他にもリノール酸やカルシウム、ビタミン群にミネラルなどが豊富に含まれていることがわかっています。
ただし、スッポンは古くから精がつく食べ物とされてきましたが、精力増強や勃起力向上の科学的な根拠はなく、良質のタンパク質やアミノ酸が摂取できることによって精が付くという程度の位置づけです。
勃起力や精力増強効果のあるアルギニンなどを豊富に含むマカやクラチャイダムなどと比べて、直接的には精力増進効果や勃起力の向上効果が期待できるということではなさそうです。
価格も高いので、特別な時に精をつけるために食べるくらいがちょうどよいのではないでしょうか。
ED改善のために漢方素材をとる方法
EDで漢方を摂るには、医師に処方してもらうか、漢方薬局で漢方精力剤を購入するか、医薬部外品の成分が配合される精力剤や精力増強サプリで摂取する方法があります。
EDの症状や重症度などによって自分にあった方法で漢方をとっていきましょう。